『三千世界の鴉を殺し』


 ハルヒの登場人物である古泉一樹を「ガチホモ!ガチホモ!」と笑えるようになったのなら、そろそろこの作品がブームになってもよいのではないだろうか。メチャクチャ笑えるSF軍隊ホモコメディ。こんなに面白いのにBLだからって読まないのはもったいなさすぎる。


 素顔を見ると誰もが硬直してしまうほどの超絶美形(これを防ぐためにいつもサングラスかけてる)にして、アルヴ・ストレナーゼ大勲章を三つも胸につける優秀さ、本人にその気はないのに、周りの野郎どもから慕われちゃって慕われちゃって、ほんともう勘弁してくれ!なルシファード・オスカーシュタイン大尉が僕らの基地にやって来た(僕らの町にスーパーカーがやって来た!的なノリ)!礼節を知らないファッキン筋肉ダルマどもにはファッキン独創的なファッキン懲罰だぜ!


 軍隊内のありとあらゆるところで勃発するルー君争奪戦。ショタ美少年からサイコな麗人、ダンディーなナイスミドルとありとあらゆる美形がルー君をモノにしようと跳梁跋扈。カーマイン基地こそ本当のイケメンパラダイス!貴様、オスカーシュタイン大尉殿から離れろ!大尉殿は僕のお兄様だぞ!?


 男が男あいてに頬を染めたり、男と男が男を取り合って他の男に嫉妬したりと、本来ならキモいシーンを作者の独創的な言語センスが最高の爆笑シーンに変えてくれる。笑いが堪えきれない。そしてコメディとして楽しんでいたはずなのに、いつの間にか「いきなり出てきてルー君と○○の邪魔をしてんじゃねぇ」と、腐女子的発想を持っている自分に驚きを感じる。当然ルシファード×サラディンだよね。


 100メートル走インターハイ選手の友人と、実業団からスカウトが来るほどのアメフト部エースにこの本を勧めたところ、二人とも大絶賛。やはり男でもホモを楽しめる土壌が整ってきたのではないだろうか?惰性でダラダラ続いてる『マリみて』を投げ出したのなら、今度はこの本を手にとってみてはどうだろうか。超お勧め。

 

三千世界の鴉を殺し (1) (ウィングス文庫)

三千世界の鴉を殺し (1) (ウィングス文庫)