イリヤの空、UFOの夏

 めちゃくちゃ気持ちいいぞ、と誰かが言っていた。
 だから、自分もやろうと決めた。
 山ごもりからの帰り道、学校のプールに忍び込んで泳いでやろうと浅羽直之は思った。


 この冒頭で、一気に物語に引き込まれた。俺に読書の楽しさを教えてくれた小説。多分、俺の人生の5%くらいはコレでできてる。浅羽直之がUFOと謎の美少女を追いかける夏の物語。

 
 なぜ、俺の中学にはゲリラ活動をしている新聞部がなかったのだろうか。なぜ、水前寺部長がいなかったのだろうか。なぜ、俺は夏休み最後の日に学校のプールに忍び込もうと思わなかったのか!!UFOを探すための、裏山での張り込み。鼻血まみれの転校生とのデート。ドナドナ号が走り回る学園祭。UFOとのダンス!浅羽がうらやましい!俺もそんな夏を過ごしたかったよ!


 第一話のタイトルになってる『第三種接近遭遇』。これは

接近遭遇分類の3番目で、UFOを目撃しただけでなく、UFOの搭乗者をも目撃し、ときには彼らと肉体的接触さえ行った状態。

らしい。舐めると電気の味がするんだぜ。くそっ。俺に舐めさせろ!


 第二話の『ラブレター』なんて、題名とオチが秀逸すぎるし、第三話『正しい原チャリの盗み方ー前編ー』なんてもう!!あの魅力溢れすぎな彼らと原チャリ盗みがどう繋がるのか。ワクワクしすぎて鼻血でそう。


 夏が来るたびに読み返す一冊(三巻の途中まで)。