天野こずえ『ARIA』11巻

ARIA(11) (BLADE COMICS)

ARIA(11) (BLADE COMICS)


 55話「黄昏時」が久々にグッと来た。惜しむべきは通り名のダサさ。でもまぁ、みんなダサいから悲観することはない。がんばれアリス。


 彼女らの練習の内容、努力した過程にあんまりスポットが当たらないから、成長した姿を描かれてもいまいち感動できないけれども(しかもアリスは天才型だし)、そこらへんはなんか雰囲気で持っていかれた。


 55話はよかったけど、51話「クローバー」は、あまりにも狙いすぎてて、ペッとつばを吐きそうになったぜ。そして自分がひねくれていることを再認識。「絶望の淵から立ち直らせてくれてありがとう!君が救ってくれたから今の私がいるんだ!」みたいなノリだったけど、ただ友達二人が先にプリマになったってだけの話だぜ。これ。悩みがちっちゃいんだよ。


 53話「ケット・シー」。ケット・シーが出てくる話は七不思議シリーズだったらしい。ヴェネツィアという街とそこに起こる不可思議な現象を描いた七不思議シリーズは『ARIA』の中でもすごい好きな話だったんだけど、今回はオチがぶっ飛びすぎててよくわからない。今回の話でシリーズが終わったらショックなんだけど、どうなんだろう。


 『ARIA』は、ヴェネツィアという「街」(情景とか行事)にスポットが当たる話と、登場人物にスポットが当たる話に分かれてると思うんだけど、キャラの造型があざとすぎてウザく感じるので、もうちょいキャラの自己主張を減らして、「街」を描いてくれたら個人的に最高。


 特に主人公の水無灯里のキャラが全く持って受け付けられない。純真無垢なのはいいんだけど、いい年した大人があそこまで純真無垢だと池沼にしか見えない。メインキャラをアリシアさんだけにして、アリシアさんが「あらあら」言いながら街を闊歩する漫画なら文句なしに神漫画なんだけどなぁ。


 結論。55話以外は微妙。最近あんまり面白くないな。俺の嗜好が変わったのかな?今度1巻から読み直してみるか。