日本橋ヨヲコ『少女ファイト』3巻

少女ファイト(3) (KCデラックス)

少女ファイト(3) (KCデラックス)

どうにもならない他人の気持ちはあきらめて
どうにかなる自分の気持ちだけ変えませんか


 めちゃくちゃ面白い。信者だからか?


 荒削りで不器用な熱さを持った作品を描く漫画家だと思ってたけど、『G戦場ヘヴンズドア』からは洗練された、磨かれた美しさみたいなものを感じる。完成度が高いというか。荒削りなところも好きなだけに複雑な気分。どちらも面白いから文句はないけれど。


 真っ当なスポ魂熱血モノ、目指せ全国!をやるのかと思いきや、賭けバレーという黒い方向に話が転がったりしてビックリ。面白い展開だなぁ。賭けバレーの主催者は頭の切れる学生で、ここらへんは『極東学園天国』みたいなノリで懐かしい。


 3巻の最後に明かされるミチルの過去。こいつのチャラチャラした行動にもちゃんと動機があり、みんなの関係を守るために一人頑張ってきたところが泣かせる。そしてそんなミチルがちょっと救済されるシーンなんてこの巻最高の見所。沁みる。


 物語の構造?構成?なんだけど、練の死んだ姉ちゃんのポジション(人間関係的な)を埋めるのが、バレー初心者の小田切っていうのが面白い対比だし、賭けバレー編で練を立ち直らせるセリフも過去のセリフの変奏っていうのもセンスが良い。なんか日本橋先生にしてはすごくプロットが練り上げられてる感じ。物語的な構造で楽しませられるとは思わなかった。あー、おもしれぇ!続きを早く読みたい。